訪問美容には、大きく分けて2つの働き方があります。
ひとつは、ご自宅へ伺う「在宅訪問」。
もうひとつは、介護施設や老人ホームなどへ伺う「施設訪問」です。
どちらも訪問美容には変わりありませんが、売上の作り方・働き方・集客方法・リピート率には大きな違いがあります。
これから訪問美容を始める方は、在宅訪問と施設訪問の特徴を理解したうえで、自分に合った営業スタイルを考えることが大切です。
この記事では、在宅訪問と施設訪問それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
在宅訪問とは?
在宅訪問とは、お客様のご自宅へ伺い、カット・カラー・シャンプーなどの理美容サービスを提供する働き方です。
主に、
- 高齢で美容室へ行けない方
- 病気やケガで外出が難しい方
- 寝たきりの方
- 車椅子の方
- 妊娠中や産後で外出しにくい方
- ご家族の介護を受けている方
などが対象になります。
在宅訪問は、お客様一人ひとりとじっくり向き合いやすい一方で、移動時間やキャンセルリスクも考える必要があります。
在宅訪問のメリット
単価を高く設定しやすい
在宅訪問の大きなメリットは、施設訪問に比べて単価を高く設定しやすいことです。
ご自宅まで訪問するため、施術料金に加えて出張費をいただくこともできます。
また、1対1で対応することが多いため、カットだけでなく、
- シャンプー
- 顔そり
- カラー
- パーマ
- 出張費
などを組み合わせることで、客単価を上げやすくなります。
施設訪問のように一度に多人数をこなすスタイルではないため、単価設計がとても重要になります。
人数をこなさないので体への負担が少ない
在宅訪問は、1日に対応する人数が施設訪問より少ないことが多いです。
そのため、短時間で何人も連続して施術する施設訪問に比べると、体への負担は少なくなりやすいです。
特に、訪問美容は準備・片付け・移動・施術がセットになる仕事です。
施設訪問では、1日に10人、20人と対応するケースもありますが、在宅訪問では1件ずつ落ち着いて対応できます。
体力面を考えると、在宅訪問は無理なく続けやすい働き方とも言えます。
お客様やご家族と深い関係を作りやすい
在宅訪問では、ご本人様やご家族様と直接やり取りすることが多くなります。
そのため、
「いつもありがとう」
「家まで来てもらえて助かります」
「母が楽しみにしています」
といった声をいただくこともあります。
一人ひとりの生活環境や体調に合わせて対応できるため、信頼関係を築きやすいのも在宅訪問の魅力です。
訪問美容のやりがいを感じやすい働き方でもあります。
在宅訪問のデメリット
車での移動が多くなる
在宅訪問では、1件ごとにお客様のご自宅へ移動する必要があります。
そのため、車での移動時間が多くなります。
移動距離が長いと、
- ガソリン代
- 駐車場代
- 移動時間
- 渋滞
- 道具の積み下ろし
などの負担が増えます。
施術時間だけでなく、移動時間も含めて料金設計を考えなければ、思ったより利益が残らないことがあります。
在宅訪問では、営業エリアを広げすぎないことも大切です。
当日キャンセルが売上に直結する
在宅訪問では、お客様の体調不良による当日キャンセルが起こることがあります。
訪問美容を利用される方は、高齢の方や病気・ケガをされている方も多いため、急な体調変化は珍しくありません。
しかし、当日キャンセルになると、その時間の売上がなくなってしまいます。
施設訪問であれば、他の利用者様に変更できる場合もありますが、在宅訪問では1件ごとの予約になるため、売上への影響が大きくなります。
そのため、在宅訪問ではキャンセル時のルールや、予約の取り方も考えておく必要があります。
リピート率が安定しにくい
在宅訪問は、一度利用してもらえればリピートにつながる可能性はあります。
しかし、施設訪問に比べると、リピート率は安定しにくい面があります。
理由としては、
- 入院される
- 施設へ入所される
- 体調が悪化する
- ご家族の事情が変わる
- 亡くなられる
といったケースがあるからです。
訪問美容の在宅利用者様は、継続的に利用してくださる方もいますが、長期的に見れば自然にお客様が減っていくこともあります。
そのため、在宅訪問を中心にする場合は、毎月新規のお客様を集客し続ける必要があります。
在宅訪問は新規集客が重要
在宅訪問で安定した売上を作るには、新規集客が欠かせません。
具体的には、
- ホームページ
- SEO対策
- Googleマップ
- ブログ記事
- 公式LINE
- チラシ
- ケアマネージャー様への案内
- 居宅介護支援事業所への営業
などを継続する必要があります。
在宅訪問は単価が高く、体への負担も少ない働き方ですが、集客を止めると売上が落ちやすいという特徴があります。
だからこそ、毎月安定して問い合わせが入る仕組み作りが重要になります。
施設訪問とは?
施設訪問とは、介護施設・老人ホーム・デイサービス・障がい者施設などへ定期的に訪問し、複数名の利用者様に理美容サービスを提供する働き方です。
施設訪問では、1回の訪問で複数名を担当することが多く、在宅訪問とは売上の作り方が大きく異なります。
施設側と契約し、毎月または隔月など定期的に訪問するケースもあります。
施設訪問のメリット
一度に複数名を施術できる
施設訪問の大きなメリットは、一度の訪問で複数名を施術できることです。
例えば、1日で10名、20名と担当できる場合もあります。
在宅訪問のように1件ずつ移動する必要がないため、同じ場所で効率よく売上を作ることができます。
人数がまとまれば、1日の売上は大きくなりやすいです。
定期訪問になりやすい
施設訪問では、施設側と関係ができると、毎月や隔月で定期訪問になることがあります。
定期訪問になれば、ある程度スケジュールが組みやすく、売上の見込みも立てやすくなります。
在宅訪問のように毎月新規客を探し続ける負担が少なくなる点は、大きなメリットです。
施設訪問は、軌道に乗れば安定しやすい働き方です。
紹介や追加依頼につながりやすい
施設で丁寧な対応を続けていると、
- 別の施設を紹介してもらえる
- 利用者様のご家族から在宅訪問の依頼が入る
- 職員様から相談される
- 追加メニューの依頼が入る
といったこともあります。
施設訪問は、単なる施術だけでなく、地域内での信頼づくりにもつながります。
施設訪問のデメリット
1人あたりの単価は低くなりやすい
施設訪問では、一度に複数名を施術するため、在宅訪問に比べると1人あたりの単価は低くなりやすいです。
施設側や利用者様の負担を考えると、在宅訪問のような価格設定が難しい場合もあります。
そのため、施設訪問では人数をこなすことで売上を作る考え方になります。
単価が低すぎると、人数を多くこなしても利益が残りにくくなるため、料金設定には注意が必要です。
体力的な負担が大きい
施設訪問では、短時間で複数名を連続して施術することがあります。
そのため、在宅訪問よりも体力的な負担は大きくなりやすいです。
特に、
- 立ちっぱなし
- 連続施術
- 準備・片付け
- シャンプー対応
- 誘導待ち
- 寝たきり対応
などが重なると、かなり体力を使います。
1日に対応できる人数や施術内容は、無理のない範囲で設計することが大切です。
施設との調整が必要
施設訪問では、利用者様だけでなく、施設職員様との連携が必要になります。
例えば、
- 訪問日程
- 施術人数
- 施術場所
- 利用者様の誘導
- 料金回収
- キャンセル対応
- 感染症対策
- 契約内容
などを事前に調整する必要があります。
施設側との連携がうまくいかないと、当日の流れが悪くなったり、施術時間が長引いたりすることもあります。
技術だけでなく、段取り力やコミュニケーション力も求められます。
在宅訪問と施設訪問の比較
在宅訪問と施設訪問には、それぞれ違った特徴があります。
| 項目 | 在宅訪問 | 施設訪問 |
|---|---|---|
| 客単価 | 高くしやすい | 低くなりやすい |
| 施術人数 | 少人数 | 多人数 |
| 体力負担 | 比較的少ない | 大きくなりやすい |
| 移動 | 多い | 施設内で完結しやすい |
| キャンセルリスク | 影響が大きい | 他の利用者様で調整できる場合もある |
| リピート率 | 不安定になりやすい | 定期訪問になれば安定しやすい |
| 集客方法 | 新規集客が重要 | 施設営業・関係構築が重要 |
| 売上の作り方 | 単価重視 | 人数・定期訪問重視 |
どちらが良い・悪いではなく、特徴を理解したうえで、自分に合ったバランスを考えることが大切です。
おすすめは在宅訪問と施設訪問の組み合わせ
訪問美容を安定させるには、在宅訪問と施設訪問を組み合わせるのがおすすめです。
在宅訪問は単価が高く、お客様一人ひとりと深く関われるメリットがあります。
一方で、新規集客を続けなければ売上が不安定になりやすいです。
施設訪問は、定期訪問になれば売上が安定しやすいですが、単価が低く体力的な負担もあります。
そのため、
- 在宅訪問で単価を確保する
- 施設訪問で定期売上を作る
- ホームページで新規集客する
- 地域営業で施設との接点を作る
という形で組み合わせると、売上の安定につながりやすくなります。
まとめ
在宅訪問と施設訪問は、同じ訪問美容でも働き方が大きく違います。
在宅訪問は、単価が高く、体への負担も比較的少ない一方で、移動が多く、当日キャンセルやリピート率の不安定さがあります。
そのため、毎月新規のお客様を集客する仕組みが重要です。
施設訪問は、一度に複数名を施術でき、定期訪問になれば売上が安定しやすい一方で、単価は低くなりやすく、体力的な負担も大きくなります。
訪問美容を長く続けるには、どちらか一方に偏るのではなく、自分の体力・営業エリア・目標売上に合わせて、在宅訪問と施設訪問のバランスを考えることが大切です。
それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分に合った訪問美容の形を作っていきましょう。

